自動運転車のLiDARの基本技術を緩くまとめ
最近自動運転車の話題が熱いですね。
自動運転車、読んで字のごとく自動で車を運転して目的地まで到着してくれる車のことです。
私みたいな車は移動手段としか考えていない人からすると、あんなめんどくさい運転から解放されるなんてインターネットの誕生以来の最高の技術じゃなかろうか、とか思っています。
今回はそんな自動運転車のコア技術の一つである距離計測センサについて疑問点とかを考察しながら書いてみます。
自動運転車というとGoogle(2016年に自動運転車部門をWaymoとして分社化)の車をイメージしますね。
WaymoのURL。動画もあります。
https://waymo.com/journey/
車の上に取り付けられている黒いものがLiDAR (Light detection and ranging)と呼ばれる距離計測センサです。
車の走行中にLiDARがくるくる回転することで、LiDARから照射された赤外線(905nm)が物体に当たって返ってくるまでの時間を測定して、周りの人などとの距離を測定します。
そして測定した距離をもとに物体との接触を避けるわけです。
日経エレクトロニクス2017年2月号にLiDARの特徴を書いた記事が書いてあるので引用。
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■LiDAR
原理: 投影したレーザが測定対象に反射して返るまでの時間から対象との距離を測定
測定可能距離: 100 m程度
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いまさらながらGoogle車の写真を見ると、LiDARが車の上で回転していることからモータを無くしたメカレス化がなされていないですね。
メカレス化すると大幅なコストダウンが可能になるらしいです。
このセンサですが、センサなんで当然測定する環境や性能の長所短所があるわけでして、センサがうまく計測できない環境で走行して万が一事故にでもなろうものなら企業大損害な案件になってしまうのです。
ですので最近の自動運転車の動向として、センサフュージョンと呼ばれるLiDAR以外のセンサとしてミリ波レーダなど複数の違うタイプのセンサを搭載することで、各センサの短所を補い合わせましょうという動きがあったりします。
センサフュージョンのわかりやすい解説記事
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/9/3/9_154/_pdf/-char/ja
少し気になったのは、センサフュージョンではメカレス化したLiDARやミリ波レーダなどの複数のセンサを搭載する必要になるのだから合計金額はそんなに安くならないのではないか、もしくはどれくらい安くなるのか、ということです。
少し疑問に感じたので値段を調べてみました。
ソニーの車載向けイメージセンサのサンプル品はだいたい1万円程度。
http://eetimes.jp/ee/articles/1710/24/news077.html
車載向けミリ波レーダの値段は波長帯によりますが、150~50米ドルくらい。
http://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/mag/15/398081/080800101/?P=4
上記値段はセンサチップ単体の値段でしょうから、そこからパッケージングして計測センサとして動作するデバイスにすると、もうちょっとお値段はあがるかと。
それでもメカ式LiDARは100万円とか言われていることを考えると、回転駆動させるための数多くの部品がいらなくなるであろうメカレス化は、大幅なコストダウンできることは間違いなさそう。
そりゃ企業はこぞって研究開発しますよね。
このGoogleの車を見ていて気になったのは、Googleの車にメカ式LiDAR以外のセンサが取り付けられていたのかという点でしょうか。
LiDAR一つだけではセンサの特性上、どうしても距離を測ることが難しいときがあります。
例えば西日が強いときですね。
LiDARの受光部にあたるイメージセンサは強い光をもろに受けると、うまく物体との距離を計測できなくなることがあります。
おそらく太陽光に含まれる赤外線は微量であるため、照射する赤外線パルスの強度を高くすれば問題ないのだと思いますが.......ちょっと調べてみます。
※ダイナミックレンジはどちらにしても必要になるのでしょうから、ここでは割愛して
近々別の記事で詳細に解説入れようかと思います。
LiDARから照射される赤外線強度はどの程度かというと
1. パイオニア製LiDARの出力10W(905nm)
Optronicsで紹介されたパイオニア製LiDARの記事
http://www.optronics-media.com/special/20151102/36688/
2. OSRAM製LiDAR用レーザダイオード出力70W(波長不明)
OSRAM社URL
https://www.osram.jp/os/press/press-releases/low_cost_lidar_a_key_technology_to_enable_autonomous_driving.jsp
レーザポインタの出力と比較すると数十Wとは結構高出力ですね。
太陽光に含まれる赤外線ですが下記文献が見つかりました。
http://s.webry.info/sp/sunatsubu.at.webry.info/200808/article_2.html
赤外線強度(905nm付近)は地表上だと0.5 W・m-2・nm-1程度………この単位初めて見ました。
単位変換すれば簡単に比較できるかとめげずにがんばってみましたが、うまく単位変換できず比較できない…….情けない。
まぁ数mW出力のレーザポインタを太陽光の下で出したとしても、問題なくレーザを視認できるので70W近くまで出せるLiDARなら大丈夫ですかね。笑
ここまで書くと自動運転車最高!!!とか思うかもしれませんが、現状のシステムでは事故を起こすことはあります。
テスラ車で起きた事故に関する説明文。テスラURL
https://www.tesla.com/jp/blog/what-we-know-about-last-weeks-accident
これからの自動運転車のセンサの進化が進んで行って当たり前のように自動運転車に乗れる日が早くやってくるといいですね~。